9月初旬の平日、カップルで宿泊。
夕食時までは客が多く、繁盛ぶりにちょっと驚きましたが、夕食を済ませて帰る日帰りの団体さんが多かったようで、食後は駐車場も空き、宿は静けさに包まれました。お風呂も内風呂・野天風呂共に、完全貸切状態。女性でも、ちょっと小さめの女性専用野天風呂ではなく、広くて野趣たっぷりの混浴野天風呂に気兼ねなく入れたそうです。泊り客の特権、ですね。四つの源泉からの湯をふんだんに注いでいるという、混浴野天風呂は、確かに適度に広くてお湯も良く、とても魅力的。この野天風呂を気兼ねなく堪能してみたいという女性には、平日、それも日帰りではなく宿泊にすれば、チャンス有りとお伝えしておきます。
宿の食事もまた、良し。品目としては、特筆すべき品はなく、今時の宿の食事としてはむしろ地味な部類かもしれません。でも夕食に出された煮物、朝食に出されたお味噌汁など、ごくありふれていて、まさに「地味な」家庭料理が、とりわけおいしい。「いやあ、食った、食った。」と自然に笑顔になるような、大変気持ちよい食事ができました。
そして、宿の人々。気取りのない態度ながら、客に対する押し付けがましさや厚かましさは決して感じさせない、良い意味でプロフェッショナルな姿勢がすっかり身に付いた女将さん。笑顔が可愛い若女将。廊下で季節外れの七夕の歌を披露してくれた、宿の幼いお子さん。こうした人々によって、山間で営まれてきた暮らしの温もりのようなものが、一夜の旅客である我々にまで伝わってきます。
もちろん、非日常的な豪華さや、決して人を退屈させないエンターテインメントを期待すべき宿泊施設ではないでしょう。周囲には、山と川しかないし。ただお湯につかる事をありがたがり、人の温もりに包まれながらおいしい食事を戴くという、昔ながらの「温泉宿」の楽しみを求める人には、お勧めできる良宿だと思います。例えば十年後にふと思い立ち、出向いても、やはりそこにあって欲しいと思う・・・そんな宿。
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