能登空港から、乗り合いの「ふるさとタクシー」で約40分、700円。
こんなところに?と思うようなちいさな魚村の道を辿っていった先に、
のびやかな、港を見下ろし、季節の木々に囲まれた宿が現れる。
公共の宿だというが、ランドスケープ、温泉施設、客室など、
効率よりもくつろぎをたいせつにした上質の空間デザインが
なされているのを感じる。
ゆったりした客室からは斜面ごしに海が見え、反対側の
斜面では水音と桜の木々、屋外の東屋もあり、ふしぎな
静寂に浸る。
食事もすばらしい。
県産の米や、とれたての魚や野菜、能登海洋深層水など
素材自体も滋味に恵まれ、そしてとおりいっぺんの旅館
料理ではない、繊細に工夫された料理でどれも美味しい。
温泉施設までは外の通路をかなり歩くので、気候次第では
ちょっとたいへんだと思うけれど、ここもまた、掛け流しの
湯も建築も思いがけずぜいたくなほど。
宿の方々も親しく気配りがあり、マニュアル的でないサービス
がある。
近くには特に観光地があるわけでもなく、逆に「何もなさ」
のなかにひとときを過ごすことがウリといえるかもしれない。
宿泊客が少なくて閉鎖が検討されているとか、と乗り合いタクシー
の運転手さんから聞いた。
土地柄、なかなか集客には結びつかないのかもしれないけれど、
奥能登の果てのこんな鄙の地に(失礼…)こんなこころづくしの
空間があることが伝わったらいいな、と思い、レビューを書きました。
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