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この春必見!オランダ以外のチューリップ鑑賞スポット

待望の開花シーズン到来。

Nicholas DeRenzo
著者:Nicholas DeRenzo2023年2月23日 7分で読める
ワシントン州スカジットバレーのチューリップ畑
ワシントン州スカジットバレーのチューリップ畑
画像提供: july7th/Getty Images

オランダと言えば、風車や木靴のほか、色とりどりのチューリップが一面に咲くイメージが典型的かもしれません。実際、17世紀のオランダ黄金時代にはチューリップを購入することに人々が熱狂し、「チューリップ・バブル」と呼ばれるほどの文化現象になりました。珍しい球根1つに邸宅の値段を払う人もいたようです。

オランダは春のチューリップ畑を歩いて楽しむのに最適な場所ですが、明るい気分になれる花々と触れ合えるスポットは世界各地にあります。実際、チューリップはオランダが原産地ではありません。中央アジアとトルコが原産で、今でもイスタンブール周辺に植えられた数多くのチューリップを毎年春に鑑賞できます。ここでは、オーストラリアのメルボルン郊外の都市から、オランダの影響が色濃く残る米国中西部の町まで、6つの観光地をご紹介します。ぜひ今シーズンのチューリップを楽しむ旅行プランの参考にしてみてください。通常、4月中旬から5月下旬が見ごろです。

カナダ、オタワ

オタワのチューリップフェスティバル期間中に国会議事堂の建物の前で咲く赤と白のチューリップ
オタワのチューリップフェスティバル期間中に国会議事堂前で咲くチューリップ
画像提供: Danielle Donders/Getty Images

オランダがナチスに占領されていた当時、ユリアナ王女とその家族はカナダの首都に保護を求めました。1945年、オランダ王室は、未来の女王に安全な避難所を提供してくれたカナダに感謝して、10万個以上の球根を寄贈しました。70年前に同市が創設したカナダ・チューリップ・フェスティバルは、2023年5月12日~22日に開催されます。ケベック州の州境を越えて、オタワと隣接するガティノーでは約100万本のチューリップが咲き誇ります。コミッショナーズ公園、リドー運河沿い、国立戦争記念碑前など、120の花壇で100種以上のチューリップを鑑賞できます。

2023年は、無料のフェスティバルが夜まで開催され、混雑が少ない夜には数多くのアクティビティが予定されています。チューリップの花壇は、日が暮れた後も鑑賞できるようにライトアップされます。幻想的なブラックライト・ボードウォークの展示で、花粉を運ぶミツバチや蝶のように、紫外線の光でお花を見るのもおすすめ。111年の歴史があり、オタワで有数の豪華なホテル、フェアモント・シャトー・ローリエは街の中心部に位置しており、窓からチューリップの花壇を眺めることができます。

ミシガン州ホランド

まさに名前のとおり、ホランドは1840年代にオランダのカルバン主義分離派の人々が定住し、中西部に小さなオランダが出現したかのよう。運河や本国から運ばれた262年前の風車を見ることができます。20世紀半ばまでは、人口の90%近くをオランダ系の住民が占めていました。この歴史遺産を記念するために、街では1920年代に10万個のチューリップの球根を購入しました。1929年以降、ホランドではチューリップタイム・フェスティバルを開催しています。2023年は5月6日~14日に実施。

咲き誇る花々を愛でるだけでなく、オランダの伝統舞踊、歴史を感じるウォーキングツアー、キルト展のほか、サラ・エヴァンスなどの有名アーティストによるコンサートを楽しむことができます。この街を訪れるなら、ベルディアのチューリップガーデンは外せません。数多くのチューリップが咲く植物園を散策した後は、職人による青と白のデルフト陶器や木靴の絵付けを見学できます。チューリップの種類が豊富なため、見ごろは4月中旬から5月下旬頃まで続きます。フェスティバル期間の混雑を避けて、春先の静かな平日に訪れるのもおすすめです。ティアマン・ロフツは、歴史あるダウンタウンの中心部に6つのアパートメントがあり、自宅のようにくつろげます。

オーストラリア、シルバン

オーストラリア、シルバンの花畑で春に咲くチューリップ
オーストラリア、シルバンの花畑で春に咲くチューリップ
画像提供: Rachel Lewis/Getty Images

チューリップが大好きなら、2倍楽しむ方法が1つだけあります。それは赤道の南に向かうこと。南半球では9月から11月にかけて春のシーズンです。チューリップのおすすめエリアはオーストラリアのシルバン。1954年以来、テッセラー・チューリップ・フェスティバルが毎年開催されています。メルボルンから約40kmの距離にあるオランダ移民の農園では、あまりに大勢の通りがかりの人が花を眺めに立ち寄ろうとしため、ケースとヨハンナ・テッセラー夫妻は花畑を一般公開することにした、と言われています。最近では、色とりどりの約90万本のチューリップが農園の一面に咲き誇り、2022年のフェスティバル(9月10日から10月9日まで)では、週ごとにテーマ別のイベントが開催されました。初めて訪れる人にとって驚きなのは、トルコのイベント。チューリップが中央アジア原産であることにちなんで、トルコの音楽、料理、アートを紹介しています。落ち着いた雰囲気の中で滞在するなら、モンレアーレ・ハウスがおすすめ。1923年に建てられたゲストハウスで、4つのコテージがあります。敷地内には、ワラビーやウォンバット、コトドリも行き来しています。

日本、砺波市

東京から新幹線で北西へ約4時間の場所にある砺波市は、世界的に有名な花の庭園キューケンホフ公園があるオランダのリッセ市の姉妹都市です。姉妹都市と同様、富山県の砺波市は、市旗にも採用しているほど、チューリップが街の特色になっています。毎年春には、となみチューリップフェア(2023年4月22日~5月5日)が開催され、300品種300万本のチューリップが咲き誇ります。チューリップ風味のソフトクリームを味わえるチューリップ四季彩館や、色とりどりの花が見られる砺波チューリップ公園などのスポットへどうぞ。フェスティバル会場の近くには一般的なビジネスホテルが数軒ありますが、日本らしいおもてなしを体験するには、少し足を延ばしてみて。タクシーで約10分、バスで約30分の場所にある家族経営の温泉旅館、ゆめつづりがおすすめです。この旅館では、天然の湯けむり温泉のほか、季節の幸をふんだんに使った料理を提供しています。チューリップの開花時期に訪れるなら、稚鮎やホタルイカ、たらの芽、わらびなどを堪能できるかもしれません。

ワシントン州スカジットバレー

ワシントン州スカジットバレーのチューリップ畑の空撮
ワシントン州スカジットバレーのチューリップ畑の空撮
画像提供: Edmund Lowe Photography/Getty Images

シアトルから北へ1時間のところにある農業の盛んなエリアは、チューリップと水仙の球根の生産量で米国トップを誇ります。ワシントンの花産業のルーツは、1890年代に思い付きで自分の敷地に5ドル相当のチューリップを植えたジョージ・ギブスというイギリス人移民にまでさかのぼります。ギブスが植えたチューリップは土壌が栽培に適していたことから、すぐに増えていきました。毎年4月、この地域ではスカジット・バレー・チューリップ・フェスティバルが開催されます。ルーズンガアード・ディスプレイ・ガーデンチューリップ・タウンなどの農園に立ち寄りながら、ドライブで景色を楽しむのがおすすめ。この地域でイチ押しのホテルなら、小さな町ラ・コナーへ。ワイルド・アイリス・インなどの魅力的な個人経営施設がいくつかあります。この宿泊施設は18室あり、ビーチクルーザーと呼ばれる無料の自転車を貸し出しています。スウィノミッシュ海峡沿いの公園やマリーナを探索してみては。

スコットランド、スコティッシュ・ボーダーズ

アイヴァンホーロブ・ロイなどの歴史小説で知られるウォルター・スコット卿は、スコットランドの国民意識を再形成することに情熱を注ぎました。そのため、カウンシル地域のスコティッシュ・ボーダーズアボッツフォードと呼ばれるゴシック・リバイバル様式の邸宅を造り上げ、1817年から1825年まで住居としていました。スコット卿はプロジェクトの一環として、壁に囲まれた3つのリージェンシー・ガーデンを設計。庭園は現在までほとんど変わっておらず、毎年春になるとチューリップが咲き誇ります。混雑する前に庭園を見学するなら、ウォルター卿の孫娘がかつて住んでいたホープ・スコット・ウィングの宿泊施設を予約できます。または、1869年に建てられた、地元の繊維工場所有者の立派な邸宅を利用したキングスノウズ・ホテルがおすすめ。ツイード川のすぐ向かいにあり、アボッツフォードを見渡せます。