4月に訪れたい観光地
カンガルー、印象派の絵画、満開の花々など、見どころは盛りだくさん。


2025年2月12日更新
4月は、冬の肌寒さから解放されて目覚める季節。多くの場所で、文字通り再生と復活の時期となっています。動物の赤ちゃんが生まれ、木々に鮮やかな青葉が生い茂り、地面から野花が咲き始めます。北半球では暖かい気候と日差しに移り変わり、待ちに待った春休みシーズンが到来します。予約に迷ってしまうと、リラックスするどころか人混みで疲れてしまうかもしれません。繁忙期でも閑散期でもないショルダーシーズンにぴったりのアイデアや、春のお得なプランを組み合わせたスポット12選をご紹介します。アート好きから国立公園を愛する人まで、あらゆるタイプの旅行者におすすめです。
イスタンブール
チューリップの鑑賞におすすめ
平均気温:最高気温17℃、最低気温8℃

オランダが連想されるようになるずっと前から、チューリップは中央アジアとトルコに自生していました。その名前は、球根状の形から、ペルシャ語でターバンを意味する言葉に由来すると考えられています。この花はオスマン帝国の象徴となり、スルタンのメフメト2世は12の庭園の手入れに1000人近くの庭師を雇っていました。一方、18世紀のアフメト3世の治世には、「チューリップ時代」という平和な時代もありました。この時代には、織物や絨毯から墓石や建物まで、ありとあらゆるものにチューリップが描かれました。
近年、トルコ最大の都市では、ブルー・モスク前のスルタンアフメット広場に敷き詰められた世界最大のチューリップ絨毯を含め、3,000万本ものチューリップが咲き誇っています。ギュルハネ公園、ユルディス公園などの庭園も見逃せません。エミルギャン公園では、トルコ国旗や流れる川などの模様が何百万もの花でデザインされ、見事に植えられています。エミルギャン公園のチューリップ畑の見事な景色を眺めるには、園内にある19世紀に建てられたオスマン帝国のパビリオンがおすすめ。現在はカフェやレストランが入っています。かつての壮大なチューリップ時代を肌で感じるなら、ザ・ガラタ・イスタンブール・ホテル・Mギャラリーに宿泊してみては。1720年代後半に起源を遡る、近隣にあるハマムを利用できます。
イスタンブールで人気の観光スポット
パリ
美術館好きにおすすめ
平均気温:最高気温17℃、最低気温8℃

4月のパリでは、にわか雨が降るかもしれませんが、世界クラスの博物館・美術館を巡るのに絶好の機会です。壊滅的な火災に見舞われてから、一般公開を再開したパリのノートルダム大聖堂は言うまでもありません。以前よりも美しい姿で生き生きとよみがえりました。
また、ルーブル美術館やオルセー美術館などの伝統ある美術館の他にも、数多くの新しい文化施設が加わりました。シンガーソングライターのセルジュ・ゲンズブールの旧家で、希少な所蔵品が満載のメゾン・ゲンズブール、セーヌ川に浮かぶ現代写真美術館のケ・ド・ラ・フォト、そしてパリ初のチーズ博物館であるフロマージュ美術館です。
フランスのアートスクールの卒業生50人による展覧会、100% L’Expoにもぜひ足を運んでみてください。展覧会は無料で一般公開されており、4月10日から5月11日までグランド・ハレ・ド・ラ・ヴィレットで開催されます。
サンフランシスコ
新進気鋭のビート詩人におすすめ
平均気温:最高気温17℃、最低気温10℃

1950年代のビート運動で一躍有名になったこの街で、「ナショナル・ポエトリー・マンス」を祝うのはいかが。探索の拠点となるのは、詩人のローレンス・ファーリンゲッティが1953年にシティ・ライツ・ブックセラーズをオープンしたノース・ビーチとチャイナタウン地区の境界です。フェリンゲッティがアラン・ギンズバーグ著の『吠える』を出版し、わいせつ罪を巡る裁判でこの画期的な作品を弁護したことで、この文学スポットは悪名を高めました。裏手には、ストリートアートや記念プレートが並ぶジャック・ケルアック・アレイがあります。
通りの向かいにあるザ・ビート・ミュージアムには、ジャック・ケルアックのジャケットや、2012年の映画『オン・ザ・ロード』の撮影に使用された1949年製ハドソンなどの希少品が展示されています。1956年にオープンした西海岸初のエスプレッソハウスであるカフェ・トリエステや、ビーツが頻繁に訪れたサロンのベスビオ・カフェに立ち寄る時間もキープして。
エディンバラ
異教の文化に触れる
平均気温:最高気温11℃、最低気温4℃

夢に終わった不運なファイア・フェスティバルについて、一度は耳にしたことがあるかもしれません。毎年4月30日には、スコットランドの首都で、ベルテーンと呼ばれる、一風変わったファイヤー・フェスティバルが開催されます。ケルトの祭典のルーツは、ローマ時代以前の英国に遡ります。当時、農家が夏の始まりを告げる清めの儀式として、家畜に巨大な焚き火の周りを歩かせました。この祭典は、エディンバラ大学の4人の学生が1988年に復活させるまで、何世紀にもわたって広く祝われることはありませんでした。
現在では、酒宴を楽しむ人々がカールトン・ヒルに集まり、ギリシャの神殿のようにも見える、未完成の戦没者慰霊碑のナショナル・モニュメントから行進が始まります。太鼓のリズムに乗って、季節の移り変わりを象徴するメイ・クイーンとグリーン・マンがパレードを繰り広げます。最後には巨大な焚き火が点火され、盛り上がりは最高潮に。
スコットランドの古代史について詳しく学ぶなら、イノシシの形をしたケルトのカーニクス(トランペット)など、考古学上の発掘物を展示するスコットランド国立博物館を訪れてみるのはいかが。新石器時代のケアンパップル・ヒルのほか、数千年前に起源を遡る近隣の古墳や要塞への日帰り旅行も計画できます。
ユタ州の国立公園
アウトドア好きにおすすめ
平均気温:最高気温23℃、最低気温6℃

ナショナル・パーク・ウィーク(2025年4月19日~27日)の初日は、公園への入場が無料に。ジュニアレンジャー向けのプログラムや、ボランティア活動の機会も用意されています。リーズナブルに楽しむなら、人気の5つの国立公園が集う、ユタ州南部の圧巻の自然に浸ってみては。アーチーズ国立公園、ブライス・キャニオン国立公園、キャニオンランズ国立公園、キャピトル・リーフ国立公園、ザイオン国立公園です。
この地域では標高差が大きいため、4月は天候の面で移行期となります。たとえばザイオンでは、山頂に雪が見られ、野花が標高の低い場所(リバーサイド・ウォークなどのトレイル沿い)で咲き始め、ラバジカの子鹿やオオツノヒツジの赤ちゃんが愛らしい姿を見せてくれます。羊の親子に出会える可能性が高いのは、ザイオン-マウント・カーメル・トンネルと東方面エントランスのレンジャーステーションの間のエリアです。
バンクーバー
花見を楽しむのにおすすめ
平均気温:最高気温13℃、最低気温7℃

日本とワシントンD.C.は桜の名所として多くの注目を集めていますが、ブリティッシュコロンビア州最大の都市でも、43,000本以上もの桜が咲き誇ります。3月下旬から4月にかけて、クイーン・エリザベス公園、ヴァンデューセン植物園、新渡戸記念庭園で淡い桃色の花々を愛でることができます。キツラノや、アービュータス通りとカーナーヴォン通りの間の西22番街など、住宅街を散策するのもおすすめです。
2025年は、バンクーバー桜祭りが3月28日から4月23日まで開催され、俳句コンテスト、ガイド付きウォーキング、夜桜のライトアップ、バンクーバー博物館での絵画ワークショップ、サイクリングコースの「バイク・ザ・ブロッサム」などのイベントを楽しむことができます。
ラオス、ルアンパバーン
冒険好きなフェスティバル好きにおすすめ
平均気温:最高気温36℃、最低気温22℃

ラオスで最も重要な毎年恒例の祭りの1つは、ピー・マイまたはソンクラーンと呼ばれる新年のお祝いで、4月13日から15日まで開催されます。モンスーンの季節の始まりに開催されるこの祭典は、浄化を象徴しています。寺院から仏像を運び出し、花で香りづけした水を掛けるのも習わしの一つ。人々は僧侶や年長者、友人に放水し、水の掛け合いが繰り広げられることもしばしば。
タイ国内で3日間祝われますが、フランス植民地時代の建築と金屋根の寺院が混在することで知られる、ユネスコ世界遺産のルアンパバーンでは、賑わいは最大10日間続きます。お祭りの一環として、寺院(ワット・シエントーンなど)を飾るために花を摘んだり、砂で仏塔や塚を作ったりする人々の姿が見られるかもしれません。
年間を通して、ルアンパバーンには見どころが満載です。ナイト・マーケットでショッピングを楽しんだり、人気のリビング・ランド・ファームで田植えと収穫の工程について学んだりできます。さらに、水牛のスーザンの助けを借りて、畑を耕すのを手伝えるかもしれません。
テキサス・ヒル・カントリー
野花探索におすすめ
平均気温:最高気温26℃、最低気温13℃

オースティンとサンアントニオから西に伸びるテキサス・ヒル・カントリー。歴史ある小さな町、人気のバーベキュー場、急成長するワイナリー、起伏に富んだ風景が31,000平方マイルにわたって広がっています。4月は野花の開花シーズンで、ローンスター州の5,000種ほどの花々が、色とりどりに咲き乱れます。
ドイツ風の町フレデリックスバーグは、散策するのにぴったりの拠点です。ここにはワイルドシード・ファームズがあり、ブドウ園の他にも、80ヘクタールを超える国内最大の野花農場があります。ウォーキングコースを散策したり、自家製のピーチアイスクリームを味わったり、店で種を買ったりできます。町の他の場所では、フレデリックスバーグ・ツアーズが、エアコン完備のトロリーに乗って花が咲き乱れる野原を巡るツアーを提供しています。ツアーでは、1901年以来テキサスの州花と認定されている、ブルーボンネットを中心に鑑賞します。
他にも、野花の観察にぴったりのスポットなら、季節ごとに約450種が土から姿を現すリンドン・B・ジョンソン国立歴史公園がおすすめ。春には真っ赤なカスティジェハ、黄色の鮮やかなコレオプシス、ブルー・ベイスン・ベルフラワーが咲き乱れるエンチャンテッド・ロック州立自然地域も外せません。
フレデリックスバーグで人気の観光スポット
メキシコ、オアハカ州
文化を存分に体験したい春休み旅行におすすめ
平均気温:最高気温31℃、最低気温14℃

春休みになると、メキシコの海岸はパーティーに熱中する人々で賑わいます。内陸部のオアハカなどを訪れるのにぴったりのシーズンです。もちろん、のんびり過ごせる街もあります。セマナ・サンタ(聖週間)は4月13日から20日まで開催され、オアハカで1532年4月25日の建国日を祝い、ソカロでは音楽とカラフルな装飾を楽しめます。
メキシコ文化に触れるなら、サポテック・トラベルでツアーを予約するのがおすすめ。オーナーであるLiliana “Lily” Palma氏が、彼女の家族が近くのトラコルラの街で経営するCriollitoをはじめ、先住民族による料理教室、クラフトマーケット、パレンケ(蒸留所)、レストランを巡るプランを提案してくれます。
ディナーには、オアハカにあるミシュランの星付きレストラン2軒のどちらかを予約してみては。美しい中庭にあり、フレンドリーなサービスと絶品のカクテルで知られるのがロス・ダンサンテス・オアハカ。才能あふれる若手シェフのThalía Barrios Garcia氏が監修を務めるのはレバドゥーラ・デ・オラ・レストランです。
フォート・ローダーデール
ウォーターフロントの散策におすすめ
平均気温:最高気温28℃、最低気温20℃

大規模なリニューアルを終えたばかりの、南フロリダの都市のウォーターフロント。春はこのエリアを体験するのにぴったりの季節です。中でもマリーナ・ビレッジは、沿岸内水路沿いに9月にオープンした、屋外ダイニングとエンターテインメントスポットです。このスペースでは、水上フェリーを改装したカクテルバーのザ・ショリーや、カラフルなトロピカルドリンクを提供するザ・メインランド・バーが軒を構えます。リキュール入りのジェラート、デトロイト風ピザ、ビリア、マヒマヒのタコスなど、さまざまなお店の料理を味わえる屋外フードホールのザ・プロムナードも要チェック。
近くでは、10億ドルをかけて再開発されたミッドセンチュリー様式の珠玉のホテル、ピア・シックスティーシックスの新しいマリーナでスーパーヨットを眺めてもよし。少し北に向かえば、ポリネシア料理のレストランとショーを楽しめる、有名なマイカイ・レストランがあります。1956年にオープンした後、国家歴史登録財に登録され、2,000万ドルをかけて改装されました。11月にリニューアルオープンし、南太平洋をイメージしたバー、エネルギッシュなステージショー、テーマ別の部屋が楽しめるほか、もちろんププの盛り合わせも味わえます。
フォート ローダーデールで人気の観光スポット
クイーンズランド・アウトバック
カウボーイになりきろう
平均気温:最高気温35℃、最低気温22℃

アウトバックを体験するのに、オーストラリアの人里離れたレッドセンターまで出かける必要はありません。ブリスベンから飛行機でわずか2時間のところに、小さな牛や鉱山の町が集まっています。4月に入ると、ようやく涼しくなるので、観光を楽しめるようになります。
カンタス航空を利用して足を延ばせるロングリーチからは、この地域を巡るミニロードトリップがおすすめ。まずは、オーストラリアン・ストックマンズ・ホール・オブ・フェーム・アンド・ヘリテージ・センターやカンタス・ファウンダーズ・ミュージアムへ足を運んでみては。巨大なボーイング747の側面に映し出される、新しい光と音のショーは一見の価値ありです。1時間ほど離れたところにあるバーカルディンでは、魅力的なツリー・オブ・ナレッジのモニュメントで、オーストラリアの労働運動における街の重要な役割を学ぶことができます。
少し離れた場所にあるウィントンには、息をのむような景色を望む急斜面のメサに建てられたグランピングスポットのレンジランズ・アウトバック・キャンプと、世界初の歌に特化したミュージアム、ワルツィング・マチルダ・センターがあります。収蔵コレクションには、アウトバックをテーマにしたアートのほか、オーストラリアの非公式の国歌誕生のきっかけとなった、19世紀の羊小屋に関連した工芸品が展示されています。これらのエリアで外せないのが、オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソーズ。オーストラリア最大規模の恐竜の化石コレクションを誇り、南半球で最も生産性の高い化石のプレパレーション室もあります。長く滞在したい方は、随時募集されているボランティアとして参加するという方法も。発掘チームに参加したり、ラボで化石のプレパレーションを手伝ったりすることもできます。
バーモント州
スイーツ好きにおすすめ
平均気温:最高気温13℃、最低気温2℃

ニューイングランドの森林は、毎年秋に見事な紅葉の見物客でにぎわいます。春のメープルシロップ作りの時期になると、その木々から採れる甘い蜜が再び人々を惹きつけます。2月下旬から4月上旬にかけて、バーモント州のカエデの木は糖分の多い樹液が採取され、煮詰められて貴重なシロップになります。グリーン・マウンテンで知られるこの州は、米国で生産されるメープルシロップの半分以上を担っており、2024年には記録的な310万ガロンに達する見込みです。
気候が快適になり始める4月には、州内に3,000軒もある製糖工場に立ち寄りながら、ドライブを楽しめます。ノース・チッテンデンの100年の歴史を誇るベアード・ファームや、モントピリアのモース・ファーム・メープル・シュガーワークスなどがおすすめ。ツアーに参加して製造工程を学ぶだけでなく、キャンディ、砂糖、ファッジ、クッキー、チーズなど、さまざまなメープル味の食品をショッピングできるチャンスも。地元の言葉でソフトクリームを意味する、メープル・クリーミーもお見逃しなく。メープルシロップ作りの季節になると、道端の屋台で売り切れになることも多いです。