9月に訪れたい世界中のおすすめスポット
バードウォッチングの楽園からヨーロッパの文化の中心地まで。
2024年7月29日更新
9月は季節の変わり目。北半球では夏が終わり、学校の新学期が始まります。しかし、それだけではありません。ブドウの収穫、動物の大移動、色鮮やかな紅葉のシーズンなど、祝福の理由もたくさんあります。さらに重要なのは、世界の多くの地域で、9月は旅行者にとってショルダーシーズンの始まり。人出が少なくなり、価格が下がり、最も過ごしやすい気温になるからです。
チリの独立やチカーノ文化を祝ったり、ナイアガラの滝やモネの庭園を見学したり。今月は、素晴らしい発見を満喫できる絶好のシーズンです。しかも、よりお得に楽しめます。
チリ、サンティアゴ
フィエスタ好きにおすすめ
平均気温:最高気温19℃、最低気温5℃
チリの首都サンティアゴでは9月が春の始まりです。この時期は手頃な価格のホテルが増え、人混みも減り、野花が咲き乱れます。9月はお祝いのシーズンでもあり、9月中旬にはチリの独立運動を記念して、2日間にわたるフィエスタ・パトリアが開催されます。田舎ではロデオで祝い、都会では、雄鶏が雌鶏に求愛する姿を模した民族舞踊「パイ・デ・クエカ」を踊る人々を目にすることができるでしょう。どこから訪れるべきか迷っているなら、まずはパルケ・オヒギンズに行ってみて。ここでは、市内最大のフォンダ(野外カーニバル)が開催されます。
ホリデーシーズンならではのドリンクや料理も楽しめます。エンパナーダ・デ・ピノは、牛挽き肉、ゆで卵、玉ねぎ、オリーブ、レーズンを使った料理で、 エンポリオ・ズニーノ、 トマス・モロ、エル・ラピードなどのお店では一年中メニューに載っています。また、「地震」とも呼ばれるテレモトは、白ワイン、パイナップルアイスクリーム、グレナデン、時にはフェルネットで作られた、見かけによらずアグレッシブなカクテルです。2軒のレストランが発祥の地と主張しているので、両方に立ち寄って、どちらが美味しいか判断してもみるのもいいですね。ラ・ピオヘラとエル・オヨは、アンソニー・ボーディンがデートで訪れたことのある、1912年創業の穴場レストランです。
テレモトを堪能しすぎたら、ロ・サン・クリストバルでハイキングに出かけるか、ストリートアートでいっぱいのバリオ・ユンガイをのんびり散歩してみては。
サンディエゴ
クロスボーダー・カルチャー好きにおすすめ
平均気温:最高気温25℃、最低気温19℃
全米ヒスパニック・ヘリテージ月間が9月15日から10月15日までアメリカで開催されますが、この月間を体験するのに最適な場所のひとつがサンディエゴです。特にバリオ・ローガンは、コロナド橋のすぐにあるメキシコ系アメリカ人文化の中心地です。ここでは、チカーノ・パークの壁画を眺めたり、ラス・クアトロ・ミルパスでホームスタイルのタコスやタマレを食したり、メキシコ人経営のブティックでお土産を選んだりして楽しめます。サンディエゴのクラフトビールは格別で、ビールにもラテンのインスピレーションを感じられます。ボーダーXブルーイングでは、メキシコ系アメリカ人のオーナーが、ハイビスカス、アガベ、チョコレート、シナモンなどのフレーバーを加えたビールを醸造しています。
この地域のラテン文化遺産をもっと深く知りたいなら、数マイル北のバルボア・パークに向かってみては。メキシコ、チカーノ、ラテン、先住民の芸術と文化の中心地、セントロ・カルチュラル・デ・ラザを楽しめます。その後、オールドタウン・サンディエゴ州立歴史公園に立ち寄りましょう。サンディエゴがアメリカ合衆国の一部になる前後に建設された建造物も見られます。時代を感じさせる衣装を着たガイドのドーセントと触れ合う体験は、きっと子供たちに大人気。スレッド・オブ・ザ・パストでは、織物、キルト、バスケットなどの手工芸品を学ぶことができます。オルチャータやメキシカン・ドーナツを販売するバリオ・ドナスは、もっと人気があるかもしれません。
ヒント: サンディエゴ旧市街の歴史的建造物や博物館の中には、特定の曜日にしか営業していない施設もあります。そのため、選択肢の最も多い木曜日から日曜日の間に行くのがおすすめです。
ニューヨーク州、ナイアガラの滝
滝好きにおすすめ
平均気温:最高気温22℃、最低気温12℃
ナイアガラの滝に行ったことがないなら、あるいは最後に訪れてからしばらく経っているなら、この9月にぜひ行ってみて。まず、9月は観光客が少なくなるため、滝を見ようとして他の旅行者と押し合いになることはありません。さらに、無料のディスカバー・ナイアガラ・シャトルが9月中と10月初旬の週末に運行しており、ナイアガラフォールズ州立公園、ワールプール州立公園、ナイアガラ芸術文化センターなどに停車するので、簡単に移動することができます。
滝の絶景を見たいなら、メイド・オブ・ザ・ミスト・ボートツアーがおすすめ。150年以上もの間、観光客に急流を間近に見せています。また、約181フィートのブライダルベールフォールの迫力を、流れ落ちる水面のほぼ真下に設置された展望台から感じることができる風の洞窟にも立ち寄ってみて。
ヒント:レインボー・ブリッジを渡ってカナダ側に小旅行に出かけられるように、パスポートを必ず持参しましょう。15分弱歩けば、ナイアガラパークス発電所の滝の下にある長さ2,000フィートのトンネルを眺められます。
フランス、ジヴェルニー
モネのファンにおすすめ
平均気温:最高気温22℃、最低気温10℃
パリからヴェルノン・ジヴェルニー駅まで列車で1時間(サン・ラザール駅と北駅に乗り入れています)で、この小さな魅力的な町に到着します。しかし、こぢんまりとしたジヴェルニーの印象に惑わされてはいけません。ここは、アート好きにはたまらない場所です。印象派の巨匠、クロード・モネが50年近く暮らした場所で、その邸宅と庭園は現在、クロード・モネ財団の美術館として公開されています。庭園は4月1日から11月1日まで公開されており、さまざまな形、大きさ、色の花が季節ごとに咲き乱れます。9月には、鮮やかな赤や黄色のキンレンカや紫のダリアが咲き乱れる様子を楽しむことができます。
庭園やモネのピンクの家を散策した後は、小道を渡ってレ・ニンフェへ。一杯のコーヒーと、この地域で有名なアップルブランデーのカルヴァドスを使ったアップルタルトがおすすめです。町を出る前に、モネのお気に入りの社交場だったレストラン・ボーディと、街の小さなロマネスク教会の隣にあるモネの墓を訪れて。
ヒント: ヴェルノン・ジヴェルニー駅に到着したら、20分間ほどタクシーに乗るか、駅から発車する片道5ユーロのミュージアム・シャトルを利用できます。細かいことはお任せしたいなら、ブルーフォックストラベルのパリ発の半日旅行に参加してみるものよいでしょう。モネの邸宅への往復送迎を手配してくれます。
シンシナティ
ビール好きにおすすめ
平均気温:最高気温26℃、最低気温14℃
今年はミュンヘンのオクトーバーフェストに行くことができないなら、代わりに全米最大級の祝祭が開催されるシンシナティに向かってみては。9月19日から22日にかけて開催されるオクトーバーフェスト・ジンジナティでは、シュタイン・ホースティング競争から「ウィンナー・ランニング」仮装ドッグレースまで、バイエルンにちなんだあらゆるアクティビティが用意されています。もちろん、ビールや料理も充実しており、ポテトパンケーキ、ブラットヴルスト、シュトゥルーデルなども楽しめます。
フェスティバルに参加できなくても、メクレンブルク・ガーデンズ・レストランや、シュニッツェルとカリーヴルストで知られるザ・リュベッカーなど、シンシー地区のレストランを訪れると、ドイツ料理とビールを味わうことができます。
また、この街ではクラフトビールの醸造も盛んです。マッドツリー・ブルーイングのオークリー・タップルームのパティオからスタートして、オーバー・ザ・ライン地区のラインガイスト・ブリュワリーへ向かえば、歴史ある倉庫でビール、コーンホール、卓球を楽しみながら、リラックスした午後を過ごせます。ひと味違う体験なら、 アーバン・アーティファクトへ。ここはかつての教会を改装して営業しており、中西部のフルーツ・タルト・エールや、ピクルス風味のビールなど、一風変わったビールを醸造することで知られています。
フロリダ州、ウォルト・ディズニー・ワールド
世界中のグルメに
平均気温:最高気温32℃、最低気温23℃
米国各地で新学期のシーズンが到来すると、人混みも落ち着いて、ウォルト・ディズニー・ワールドのパーク内で食べ歩きを楽しむのに絶好の季節となります。8月下旬から11月下旬にかけて、エプコットでは、インターナショナル・フード&ワイン・フェスティバルが開催されます。万国博覧会と高級フードコートが融合したイベントです。ブラジルのフェジョアーダ、中国のクリスピー・ダック・バオ、アイルランドのフィッシャーマンズ・シーフード・パイ、インドのサモサなど、どれも絶品です。食事の合間には、無料の「イート・トゥ・ザ・ビート・コンサート・シリーズ」をチェックしてみて。昨年はボーイズIIメン、98º、ハンソン、シーラ・Eなどが出演しました。
他のおすすめポイントとして、ディズニー・ワールドの最新スポット「ティアナのバイユー・アドベンチャー」では、「プリンセスと魔法のキス」のキャラクターが旧スプラッシュ・マウンテンのスペースに登場します。もちろん、ここには、ホットソース、調味料、オーブンミトン、料理本などを販売するギフトショップもあります。
ヒント: 今年の初めに、ディズニーズ・グランド・フロリディアン・リゾート&スパのヴィクトリア&アルバーツは、テーマパーク内のレストランとして初めてミシュランの星を獲得しました。座席は1日1席のみ。ですが、ニュージーランド産ラングスティーヌのタルトレット、鹿肉のサンドイッチ、ハモン・イベリコのエクレアなどのテイスティングメニューを堪能するために、席を争う価値があります。60日前に予約が開始されますが、あっという間に予約が入ってしまうため、カレンダーの通知を設定しましょう。
南アフリカ、クルーガー国立公園
野生動物好きにおすすめ
平均気温:最高気温29℃、最低気温13℃
世界中の旅行者が、ヨハネスブルグから約250マイル離れた南アフリカのクルーガー国立公園を訪れ、「ビッグ・ファイブ」(ゾウ、ヒョウ、ライオン、サイ、アフリカ水牛)と「リトル・ファイブ」(ウシハタオリ、ヒョウモンガメ、アリジゴク、カブトムシ、ゾウトガリネズミ)の両方を見る機会を狙っています。9月は気象条件が良く、これらすべてを見るのに最適な時期となっています。この地域では乾季の終わり頃のため、動物の観察を妨げる草が少なく、ずぶ濡れになる心配もありません。
レンタカーを借りて、7,500平方マイルにおよぶ公園を自分で運転することもできますが、ガイド付きの体験が人気です。サファリアが提供するプライベート1日サファリや、空港送迎、宿泊、食事などが含まれるビバ・サファリの5日間のトレッキングなどがあります。早朝と夕方は野生動物に出会える絶好のチャンスなので、公園自体もその時間帯にゲームドライブを提供しています。また、ナイトドライブでは、夜行性の生物を観察したり、星空を観察したりできます。
もちろん、公園を満喫するなら1泊するのが一番です。おすすめはサビー川に架かる1893年の鉄道橋の上にあるクルーガー・シャラティ - ザ・トレイン・オン・ザ・ブリッジか、シンギタ・レボンボ・ロッジとシンギタ・スウェニ・ロッジの2つのラグジュアリーなキャンプです。
アリゾナ州ツーソン
バードウォッチャーにおすすめ
平均気温:最高気温36℃、最低気温20℃
バードウォッチングの拠点としては過小評価されているツーソンの山々は、「スカイ・アイランド 」として知られています。周囲の砂漠よりも大きく隆起しているため、山頂はまさにオアシスのような役割を果たし、さまざまな生物にとって涼しい隠れ家となっています。特に9月は、渡りのピークシーズンで、ヤナギビタキ、ムネアカルリノジコ、ルビーキクイタダキなどの野鳥を山間部や郊外で観察するのにおすすめです。これらのスカイ・アイランドに最もアクセスしやすいのは、市の郊外を起点とする全長27マイルのマウント・レモン・シーニック・バイウェイです。標高9,157フィートの山頂までの道では、オオミチバシリ、サバクシマセゲラ、ハヤブサなどに出会えるかもしれません。
さらに足を延ばすなら、ブエノスアイレス国立野生生物保護区、サン・ペドロ川岸国立保護区、マデラ・キャニオンなど、この地域のバードウォッチングスポットへの日帰り旅行も可能です。バードウォッチングの思い出に、輸送用コンテナを利用したインディーズ・ブティックが並ぶ屋外ショッピング地区、MSAアネックスを訪れてみて。「ホワイ・アイ・ラブ・ホエア・アイ・リブ」では、ハチドリのイヤリング、ミチバシリの靴下、ウズラの陶磁器のマグカップ、またはシンプルな「バード・オブ・アリゾナ・フィールド・ガイド」を購入できます。
ヒント:小さくてカラフルな鳥がお好みなら、街から南へ車で約1時間のところにあるツーソン・オーデュボンズ・パトン・センター・フォー・ハミングバーズを訪れて。この時期、たくさんのハミングバードが羽を広げています。
オーストラリア、ブリスベン
最先端のカルチャー好きにおすすめ
平均気温:最高気温24℃、最低気温14℃
メルボルンやシドニーの住民は、ブリスベンを辺境の地と侮ってきましたが、今やブリスベンの文化的な優勢は否定できないものとなっています。特に、8月30日から9月21日まで開催されるブリスベン・フェスティバルでは、ジュディス・ライト・センター・フォー・コンテンポラリー・アーツ、クイーンズランド・パフォーミング・アーツ・センター、シティ・ボタニック・ガーデンなどが、ブリスベンのあちこちで開催されます。ジャン・ポール・ゴルチエの生涯を題材にしたミュージカル・レヴューおよびファッションショーのファッション・フリーク・ショーをはじめ、オペラ、室内楽、キャバレー・ショー、サーカス、ファースト・ネーションのアーティストによる作品など、盛りだくさんのラインナップです。
フォーティテュード・バレーのおしゃれなジェームズ・ストリートに拠点を構えるのはいかが。2018年にオープンしたザ・カリレ・ホテルは、ブルータリズムとマイアミのモダニズム、そしてミッドセンチュリーのオージーモーテルへのオマージュをミックスした注目のホテルで、街の再構築に貢献しています。それ以来、このエリアを散策するのに便利な拠点となり、周辺にある革新的なエッサ・レストラン&ワイン・バーでは、季節のメニューにカニのクランペットやベテルリーフで包んだ牛肉のタルタルなどを堪能できます。
オーストリア、バート・イシュル
歴史好きにおすすめ
平均気温:最高気温18℃、最低気温9℃
今年の欧州文化首都に選ばれたバート・イシュルは、ザルツブルグから東へ車で約1時間のところに位置する歴史ある温泉街です。1800年代初めには、大公から皇帝まで、ヨーロッパのエリートたちが「水を浴びる」ためにこの地を訪れるようになりました。1854年には、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリザベート(またはシシィ)が、カイザー・ヴィラを夏の離宮にしていました。現在は博物館になっています。9月になると気温が下がり始め、 ユーロテルメン・リゾート・スパでリラクゼーションや血行促進などを目的とした塩水浴や吸入療法を楽しむのに絶好の季節となります。ファミリー向けの施設となっており、16歳未満のお子様には割引があります。
滞在中は、バート・イシュル市立博物館や、町の中心にある花いっぱいの公園、クアパークで開催される特別な文化首都プログラムのカレンダーをぜひチェックして。最も期待されている展示のひとつは、マルモシュレッスル(シシィのコテージ)で開催されるもので、中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイの作品と、紀元前800年から450年頃まで周辺地域に住んでいた古代ハルシュタット文明の遺物が展示されます。
ヒント: バート・イシュルはザルツカンマーグート(塩の領地)と呼ばれる地域への玄関口であり、7000年前から塩が採掘されています。お土産を探すなら、地元で採掘された岩塩が手に入るザルツヴェルテンのショップがおすすめです。