大島絵本館のすぐ隣にある八幡社に鳥取の里のいわれが書かれた案内板が立っています。今でも周辺に田んぼはたくさんありますが、白鳥が飛んできそうな雰囲気はありません。その昔に住んでいた方に聞けば、当時の情景が思い浮かぶのかもしれません。

古事記で多くの詩がこの地を白鳥の飛来する地として詩にしてきました。 古事記の時代だけではなくここ50年ほど前まではこの辺りには毎年冬が近づくと白鳥が飛来していました。 そして白鳥が来ると外仕事が終わり納屋での仕事となったのです。 白鳥がシベリアへ帰ると春になり新しい年の外仕事を農家の人たちがしてきたのです。 白鳥のことを全国的に古語では鳥取というのですが、この辺りでは久々と言いました。 名字でも地名でもこの辺りには白鳥が飛来することを名前の由来にする久々さん、久々湊さんという名字が多いのです。 地名でも湿地帯にやってくる白鳥がいる船着き場があるために久々湊（くなと）という地名も残っています。 しかし今ではここは名所ではありません。単なる空き地です。 まったく整備されておらず荒れ地に石碑と案内看板1枚があるだけのところです。 近年は国道8号線バイパスや富山新港などの近代的な施設ができて白鳥もまったく来ません。 これまでこの辺りの多くの土地は湿地帯で地盤が極端に悪く、農業をするのに胸まで水に浸かって田んぼ仕事をしていた所なので土地としてほとんど活用されていなかったのです。 その湿地帯に古事記の昔は白鳥が飛来していたのです。 近年はこの辺りはテニスブームの時は町営のテニスコートになりその裏に大島絵本館が先にできたのですが最近はおまけに市役所庁舎まですぐそばにできました。 白鳥が飛来する雰囲気などどこにも今はありません。 どなたも行くとがっかりしますよ。