この街は綿織物の街としてつくられ、発展しました。この博物館はその街の産業を支える工場の一つでした。 入り口を入ると、まず織機の織る大きな音が聞こえてきます。全部の機械が動いているわけではないのに大きな音と振動が伝わってきます。自動織機が自動で織るなか、１，２人の男性が機械を見て回っています。私は手動で織機で織ったことがあるので、この無人の織機の動きがとても不思議に見えました。 2階は、どこから綿がやってきて、どのような人たちが工場を経営し、どのような人たちがどのような格好で働いていたのか、どのような物が織られていたのかなど当時を知ることができる展示と、短い動画が見られます。 アイルランドのじゃがいも飢饉で入ってきた移民をはじめ、多くのヨーロッパ人が新しい国の産業革命と経済発展を見てこの地に労働者としてやってきました。日本でもそうですが特に女性がこの織物工場で働きました。 この産業の成立によって人間が時間制で働くようになったこと、また女性たちが過酷な労働条件に立ち上がってストライキをするようになったという労働史を見ることもできます。 5月以降が観光シーズンなので、私が行ったときはほとんど人がおらず、ゆっくり見ることができました。

　ローウェルは、繊維工業で栄えた町である。運河を掘り、たく さんの移民労働者で大きくなっていった。 　今、町の中心部は、所どころ空き店舗になったいたりして、ち ょっとさびれている。しかし、運河をボートでめぐるツアーもあり、 観光客も多く訪れていた。博物館までは無料の市電が走ってい て、レトロな雰囲気である。 　博物館では、実際に大きな織り機が轟音とともに稼働していて 今そこで織っている布をさわって感触を確かめることができる。 　時代とともに、織物産業はコンピューター産業へと変わり、人 口も減っていく。そんなローウェルの町の変貌が、今も残されて いる建物の中で実感できる博物館である。 すぐ近くの移民少女博物館もお薦めする。こちらは無料。家族 から離れてローウェルにやってきた少女たちの生活を知ること ができる。