近年公開が始まったのかわかりませんが、ルーマニア人に「チャウシェスクの旧居に行く」というと、「国民の館ではなくて?公開されているの?」と聞かれました。
こちらの建物は国民の館と違ってWebのフォームから簡単に予約できます。
門をくぐると、噴水の心地よい音、さらに庭をゆったり闊歩する孔雀が出迎えてくれます。のちに説明されましたが、孔雀はチャウシェスクのお気に入りだったらしく、彼に贈られたさまざまな孔雀の意匠を施した文物を見ることができます。なんと庭の孔雀も彼のペットの子孫だとか。
建物はチャウシェスクの先代の共産党書記長であるデジのために計画されたとのことですが、途中でデジが死去したため、チャウシェスク・ファミリーのものとなりました。周囲はいわゆる「赤い貴族」たちの住まいだったそうです。
内装はロココ調のものからモダンなものまで幅広く、往時のルーマニア国民が存在を噂したという「黄金の浴室」も見ることができます。また、内装と同様に興味深いのが世界各国の要人からの数々の贈り物です。東側世界の改革派リーダーと西側から称賛されたチャウシェスクの姿を、それがたとえ虚像であったにせよ垣間見られます。
ツアー自体は45分程度と短いながら、建物そしてチャウシェスク一家の要点を抑えた素晴らしいツアーでした。若い男性のガイドでしたが、様々な質問にも応えてくれました。是非行かれることをお勧めします。唯一惜しむらくは売店のしょぼさでしょうか。