高千穂で一番グレードの高いお宿です。半露天風呂付離れのお部屋二人利用で一泊二食一人5万円でした。ホスピタリティの高さ、お部屋、お料理、アメニティなど総合して妥当なお値段かと思います。
ゆえに★5つです。が、老婆心ながらのコメントを加えますと…
もっと「高千穂らしさ」があった方がよいかな、と思います。経営者の方は、おそらく各地の名旅館や高級ホテルに泊まって研究し、それをご自分のお宿にも取り入れているのだろう、と思しき点が多々あります。それゆえ、高いレベルが保持されているわけですが、しかしながらそれは、厳しい言い方をすると真似事に終わっていて「高千穂らしさ」が感じられないのが難点です。有名観光地にあるような「ありふれた高級旅館」では、旅人には寂しいのです。
地元の食材、地元の器にもっとこだわった方がよいのではないかと思います。私たちがいただいたお料理には、高千穂牛以外、地元産とおぼしき食材がなかったのはちょっと残念でした(説明がなかっただけかもしれませんが…)。器も地元の陶芸家の器とか、木工作家の器とか、籠職人の籠や笊などを使ってみるといいのにな、と思います。料亭で使うような洒落た食器に、山国には不似合いな海鮮を盛ってくれても、正直なところ、何の旅情も感じません。遠方から山奥まで遥々やってくるお客は、素朴な器に山菜や清流の川魚といった「高千穂らしいお料理」を求めてくるのではないでしょうか?
おせっかいながらの提案ですが、「かっぽ酒」を定番サービスとしてはいかがでしょうか?私たちは「一休」のダイヤモンド会員サービスの特典として、かっぽ酒のサービスが付いていましたが、長い竹筒で酌み交わすお酒は、なかなかインパクトがあって印象に残るサービスでした。高千穂地方の古くからのもてなしの方法だそうで、高千穂の図書館で調べたところ、高千穂を訪れた文人たちの作品にもこの「かっぽ酒」がよく登場しています。かっぽ酒はまさに「高千穂らしさ」を感じられるサービスだと思います。
もう一度泊まりたい、と思わせるお宿には、「そこに行かなければ味わえない何か」が必ずあります。失礼ながら、神仙さんにはそれがない。箱も人もいいのに、惜しいですね。