先日、かねてからオープンを心待ちにしていた岡山県・倉敷の料理宿「撚る屋」に宿泊してきました。美観地区の中心部に位置しながらも、喧騒から少し離れた場所にひっそりと佇むその姿はまさに隠れ家のような趣です。築100年を超える歴史的な建物を改修したというだけあって、外観は周囲の古い町並みと見事に調和し、時が止まったかのような静謐な空気を纏っていました。
今回滞在してみて、このお宿の魅力は、倉敷の風土が育んだ素材と、そこに息づく職人の手仕事を感じられることにあると感じました。ゲストを迎える入り口の縄暖簾や、部屋で使用するトレー、客室やBARのサイン。アイコンとして分かりやすい食器やグラスだけでなく、パッと手に取ったり、目に入ったモノすべてに豊かなストーリーがある。スタッフの方から語られる言葉に聞き入りながら、この土地が紡いできた時間に思いを馳せる、特別なひとときを過ごせたと感じています。
単に美しい景色やデザインを見るだけでなく、五感で土地の歴史を知ること。それは、イ草の香りや木の温もり、土の感触、ガラスの輝きといったさまざまなこと。美観地区の散策もおおいに楽しみましたが、撚る屋に滞在したことで、倉敷の歴史や文化、そしてそこに息づく工芸の美しさをより深く楽しむことができました。
単なる宿泊施設に留まらず、倉敷の魅力を体いっぱいに体験できる場所、それが「撚る屋」だと思います。このたびはありがとうございました。
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